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☆安全性のお話し【壁量計算編】最も一般的な「四分割法」で気になる所

2017年11月6日(月)

お元気ですか?池田です。

ここの所あまりランニングができておらず

先日久し振りに6kmほど走ってきました。

タイムが全く落ちておらず、自分でもビッ

クリしました。

走り始めて約1年。ある程度体力が付くと

多少期間が空いても大きな影響は無いもの

なのでしょうかネ!?

 

さて、私にとって11月最初のブログとな

る今回は、再び安全性のお話しシリーズで。

 

今回は、建築基準法で定めらている「四分

割法」と言う、耐力壁(→地震の揺れに抵

抗し、建物を守る大切な壁)の設置の良否

を判断する手法についてお話しします。

 

弊社の新築住宅では、全棟「構造計算」を

実施する為、この四分割法よりもっと詳細

な安全性を確かめています。しかし、日本

の木造住宅の大半は、「構造計算」は行わ

ず「N値計算」(←いずれ取り上げます)か

「四分割法」による確認に留まっています。

 

各計算方法の安全性の考え方は、下の図が

参考になります。(クリックで拡大)

171106a

(出典:M’s構造設計作成の講習資料)

 

その四分割法ですが、考え方をざっくり

お伝えすると、次の通り。

 

下の図を木造住宅1階平面図とします。

黒線は、間取りを表す壁。(窓は無視)

黄色の線は筋交(すじかい)など、地震の

揺れに抵抗させる為に設置した耐力壁。

後で出てきますが、この耐力壁の長さは

1つの線で91cmとします。(重要)

171106a-1

X(図面の横)方向の揺れに抵抗する耐力

壁が下図の青い線。

171106a-2

Y(図面の縦)方向の揺れに抵抗する耐力

壁が下図の青い壁。

171106a-3

青い壁は、X方向、Y方向それぞれ外壁面

から1/4の範囲内のものを対象にします。

ですので、各方向で黄色いままの壁は考慮

されません!

 

【設置耐力壁の良否判定】

そして、これらの青い壁が、次のどちら

かの条件をクリアすればOKとなります。

 

①X方向、Y方向のそれぞれの青い壁の合

計長さが、定められた計算方法による

判定値と比較して1.0を超えるか?

これを壁充足率と言います。

上の例で、Y方向の判定値が仮に4.55mで

あれば、実際のY方向の耐力壁の合計長さ

が5.46m(0.91m × 6枚)なので

5.46m / 4.55m = 1.2(> 1.0)

となり、OKと言う訳です。

 

壁充足率は、壁の量が足りているか?を見

ます。

 

②X方向、Y方向それぞれの壁充足率同士の

比が、0.5以上あるか?

これを壁率比と言います。

上の例で、X方向の壁充足率が仮に1.4など

の値だとすると

1.2 / 1.4 = 0.857(≧ 0.5)

となり、OK!と判定されます。

 

壁率比は、耐力壁のバランスを見ています。

 

ところで、先ほどは、上記①、②のいずれ

かをクリアしていれば耐力壁の計画はOKと

判定されると言いました。

そして、壁充足率と壁率比の計算方法から

行くと、①を先に計算することになります。

 

ん?

 

と言うことは、①の壁充足率をクリアした

ら、②の壁率比は計算しないでOKとなる?

 

実は、その通り!!!

 

つまり、X方向、Y方向それぞれの壁充足率

をクリアしていれば、壁率比(耐力壁のバラ

ンス)は確認する必要が無い!と言う事に

なっているのです。

 

建築基準法上は合法であっても、これは、ち

ょっと危ないのでは?と感じます。

だって、各方向の壁の量が基準を満たしてい

れば、「はい終了!」って・・・。

あれ?X方向とY方向のバランスは見なくて

良いの?もし、極端にバランスが悪かったら

どうなるの?などの疑問が残るからです。

 

この問題は、実は構造設計をまじめに考える

会社と、建築基準法は守っているからそれ以

上は感知しないと言う会社との姿勢の差とし

て、木造建築業界では割と取沙汰されるテー

マだったりします。

 

それでも、大切なマイホームに実際何十年と

住むことになる一般の方には、その様な問題

が目につく事はほとんど無いので、これも

この業界の問題と考えています。

 

因みに、昨年4月14日に発生した熊本地震

では、昭和56年6月以降の「新耐震基準」

で建てられた木造建築物でも、平成12年5

月以前(これ以降は、更に基準が上げられて

います。)の建物が、調査した地域だけでも

76棟も倒壊しており、国土交通省も危機感

を募らせた様で、しっかりと報告書を作成し

HPで公開しています。

 

ついでの話しですが、昭和56年6月の新耐

震基準よりも更に基準が引き上げられた平成

12年6月以降の建物も、同じ調査地域で

7棟倒壊しており、構造設計の難しさを物語

っています。

 

しかし、既存の建物であっても、しっかりし

診断による判定と耐震補強工事によって十

分に対策を取る事ができるのが、日本の在来

工法による木造建築物の長所です。

ぜひその長所を活かし、これからの生活を

安心して過ごせる様して下さいね。

 

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新築・リフォームプロデューサー:池田 武司
新築・リフォームプロデューサー:池田 武司

■二級建築士
シックハウス診断士補(二級)
■お客様へのメッセージ
「私がもし、お客様であったなら。」 そんな思いを持ち続け、マイホーム新築の頼れるパートナーとして、お手伝いいたします。 安心、安全、健康で長持ちする本物の家づくりをぜひ体感してください。

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