断熱が原因
医学的に見た住宅の問題
寒い家では朝起きた時の心拍数が多く、心臓に負担がある
医学の世界では、血圧が高いと心疾患や脳血管疾患等の循環器疾患の発生率が高くなるといったデータが長年の研究で示されていますが、建築学の領域でも近年、家が寒いと血圧が上昇するといった住宅と健康に関する研究の成果が多数報告されるようになっています。
ここでは、住宅の断熱に関する様々なデータをもとに、問題を解説していきます。
家庭内事故は交通事故の
3倍以上!!
住む人にとって、暖かい家や温度差の少ない室内がいかに重要かについていくつかのデータが示してくれています。
ヒートショックによる推定死亡者数は、交通事故死亡者数の3倍以上にもなっています。(左図)
従って、家庭内事故は交通事故よりも身近にあり、危険であることを知る必要があります。(*ヒートショック:リビングからトイレ、脱衣場、お風呂など温度変化の激しい所に移動する事により、血圧が急変し、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすこと)
そして、これは11月~3月に急激に増加しています。(右図)
年配の方に限ったお話ではなく、年齢を問わず誰にでもあてはまるものです。
日本人の60%は三大疾病がガン、心筋梗塞、脳卒中でお亡くなりになっている事をご存知ですか?
原因は食生活(ストレス等)もあるかもしれませんが、「家」にも原因があるという事が近年の研究で明らかになっています。
熱中症
意外に知られておりませんが、実は、家の中で熱中症になる人の割合は全体の40%を超えています。
2013年6~9月に熱中症で救急搬送された人は5万8000人余と過去最多。
また、年齢が高いほど重症化しやすく、最近の研究によれば住宅内で夜間に発症する例も多くみられ、特に65歳以上の高齢者、4歳以下の乳幼児はなりやすいとも言われています。
家の中の環境は生死に関わるという事を知っておかなければいけません。
温暖な地域、
国ほど冬の死亡増加
日本の地域別最寒日の4大疾患による死亡率を見ると、積雪寒冷地である北海道よりも関東や西日本など温暖な地域の最寒日の方が非常に高く、高気密高断熱住宅の普及している北海道地域の方が冬の室温が高く、死亡リスクが下がっていることがわかります。
欧州でも温暖な国ほど冬の死亡増加率が高くなっています。
人口動態統計を用いた住宅内の安全性に関する研究その
最寒日と4疾患による死亡に関する研究:三上、羽山他(2014.3)
海外(イギリス)の基準
英国では、2009年の英国保健省による報告書で、冬季の死亡者増加率は他の季節に比べて18%も上昇している事、低い室温がもたらす健康リスクに関しても指摘されました。
その為、温度は28度以上、18度以下となる家は、住居としては認められないという高い基準が設けられており、健康性・安全性の劣る住宅に対して改修・閉鎖・解体の命令や罰則を出すことができます。基準以下の場合には、賃貸も禁止されるのです。その結果、冬の死亡率も軽減されています。
このように温度というのは、健康に対して非常に重要な要素となってきます。
暖かい家=健康に繋がるという事です。
循環器疾患を減らし、介護予防も促して、ニッポンを健康にする!
増大し続ける医療・介護費と
その原因
図のように、このままいくと国の社会保障は増え続け、財政をさらに悪化させてしまいます。
住宅の断熱化は個人レベルの医療費や介護費だけでなく、国レベルの社会保障の負担を軽減させることが期待できます。
住宅の断熱性を向上させることで、循環器疾患を減らし、介護予防も促して、ニッポンを健康に!
断熱が原因
医学的に見た住宅の問題
今住んでいる家の不満第1位は
『断熱性能の低さ
(暑い、寒い)』
今住んでいる家に対する不満第1位は断熱性能の低さ。
続いて遮音性、耐震性などが挙げられます。従って新築時のこだわり優先順位は「高断熱・高気密」が第1位(約5割) ※国土交通省
※国土交通省調べとなっていますが、現状の不満に対しては我慢する、又は冷暖房などの機械で解決を図っている方が多く、リフォームで改善する方はまだまだ少ないのが現状です。
長期的なコストも見据えた上で、早めの対策着手が望ましいと言えます。
ランニングコスト
シミュレーション
例)低断熱仕様の家
20畳リビングのエアコン(7.1kw)と
6畳寝室のエアコン(2.8kw)を
仮に1日3時間 1ヶ月運転すると・・・
1ヶ月の冷暖房費
2.5万円 なんてことも!
10年なら、
150万 に!(年間6ヶ月使用想定)
初期投資費又は交換費用等も考えれば、断熱性能を高めることがトータルコスト抑制し、快適な空間を手に入れることができる最善の方法であると言えます。
大きな原因